北海道に移住した年、食べる野菜くらいは自分で作ろうと


裏庭に小さいながらも畑を作り、キュウリ、トマト、大根、人参、玉ねぎ・・・と


種類は多いが数を少なくして試しに植えてみた。


関西に住んでいたころは、マンションのベランダでも


キュウリやトマトは十分育った。


北国とはいえ、こちらはプランターなどではなく畑だ。


料理を作ったときに出る野菜や果物の皮は、ゴミ箱ではなくて畑に投入。


栄養たっぷりの畑だから、どれか育つ苗があるだろう。


北海道は広くて、気候も場所によっていろいろだ。


私の所の夏は30℃になる日が数回だけで短く、


豪雪地帯だが冬の気温も落ち着いていて、−10℃くらいが最低。


一見とっても住みやすい気候なのだが


これがとんでもない曲者で、4月頃から7月にかけて天気が非常に不安定になる。


関西ではこの時期はすでに春で、連休あたりから真夏日になるのに、


こちらは晴れる日が少なく曇って強風、雨で低温。


苗を植えてもすぐダメになった。


畑の作物にとっては夏の暑さがとても重要なのだ。





知人に水耕栽培機があれば苗作りに便利だと教えてもらい購入。


せっせと苗を作って畑に移し替えては枯らし、の繰り返し。


6月に入っても冬のような寒さが続く灰色の空をながめて


泣きそうだったのは暗い空か私か。


結局一年目は畑を断念し、一階ベランダにプランターを沢山設置。


防風の為に支柱にビニールを取り付けて、


よそ様のお宅の見よう見真似でビニールハウスを作った。


苗が育ち始め、朝の水やりの時太いキュウリを見つけて喜んだ。


畑があるのにまたベランダ栽培か・・・溜息がでた。


同じ一年目の秋に、知人から苺の苗を沢山もらった。


「苺は強い、私は何も手入れしていないのに毎年たくさん収穫出来ている」


その知人の言葉を信じ、畑に苺の苗を植えた。


年が変わり春になり雪が解け、一応冬が終わった頃


極寒に耐えた逞しい葉っぱの間に赤いものが見えるようになった。


やった ! 実が成った ! さすが知人の根性苺は強い。


しかし、苺の実は大きくなる前に全滅した。


何で育たなかったんだろうかと実を調べてみたら


どの実にも虫が食った跡が・・・


何と、ワラジ虫が苺を襲撃したのだ。


雪が解けると虫が出る前に殺虫剤を撒かないと実がやられる。


そういう当たり前のことが私にはわからなかったのだ。





苺は三年目の今年の夏、買わなくて良いくらい収穫することが出来た。





今年私はまた畑を始めた。


今度はじゃが芋を育ててみたのだ。


もちろん虫に注意して、毎日畑を見回った。


お陰でこれまた大量に収穫、採れた芋でカレーやサラダを作った。


来年から畑は全部、じゃが芋と苺に決まりだ。


この話が全部ではない、まだまだ続く。


無知はとんでもないことをしでかすもので、


茗荷の苗で笑い者になった。





私は茗荷の苗の茎部分と根っこの区別がつかなかったのだ。


農協で仕入れた茗荷の苗は、タコのように長い足が何本もくっついており、


私はこの長い足が茎だと勘違いしてしまったのだ。


植えて数日、知人が畑にやって来て、


土の上に突き出た物体を見るなり、


「これは何・・・・? へぇ・・茗荷ぁ?


どひゃあ、こりゃ逆さまだぁー」と大笑い。


慌てて植えなおしたが、苗はすでにダメになっており


それ以後「この人茗荷を逆さまに植えたんだよ」と笑われている。


ど田舎で笑いが少ないんだから、私が笑わせてやんよ。


せいぜい笑ってくださいませ。





話が戻って、水耕栽培機はとても便利だ。


電灯で明かりと温度を保ち、苗を育てるのだが、


タイマーがついており毎日同じ時間に明かりが灯り、


一定の時間で消灯する。


電球がLEDなので電気代も安く、


夜中トイレに出た時に足元が危なくないので助かっている。


苗を育てない冬の間はサンチェを育て、


料理の付け添えとして楽しめる。


サンチェは水耕栽培で十分育ち、


気をつけることは種の賞味期限だ。


これも無知な私は「氷河期から氷の中にあったキンポウゲの種から芽が出た」


などという、うろ覚えの記憶から


種は強い。というイメージを持ち、


種は冷蔵庫にさえ入れておけば数年経っても大丈夫。


なあんて・・・そんなわけないのだ。


繰り返すけれど、種には賞味期限があるので要注意だ。


購入するとき、種の袋に印字されている賞味期限が


出来るだけ新しいものを買うようにしよう。



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